2023年11月刊 B5判 206頁
名久井文明著
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木の実や樹皮の利用方法は、縄紋時代の遺跡にもその事例がのこされており、それは親から子へ、子から孫へと受け継がれ、人々が山間部で生きていくうえで不可欠な伝統的な生活技術となった。
考古学の研究方法として民俗考古学的手法を成立させた著者が、出土遺物に備わる文化的意味合いを、民俗事例を手掛かりに解明する。
食料の乾燥と備蓄、樹皮利用、木材利用、堅果類利用、矢を射ない弓、太縄、運搬具について、先史時代から現代までの継続性を指摘。モース以来の伝統的考古学研究方法では着手しえなかった文化的側面の領域を、民俗考古学的方法で解明。豊富な図解により出土遺物および民俗事例の類例が一覧でき、今後の一次資料研究において貴重な指針を示している。
【目次】
第1章 食料の乾燥、備蓄
第1節 堅果類ほか
1 「どんぐり」と「へそ」
2 クリ
3 トチ
4 クルミ)
5 鱗茎・塊茎
第2節 堅果類を処理した木製品・石器
1 木製竪杵
2 石製竪杵(石杵)
3 石臼
4 搗き台石・多窪み石
5 クルミ敲き石
6 凹み石
7 トチの皮を剥いた石器
8 石皿・磨石
第2章 樹皮利用
第1節 樹皮採取方法
1 縦剥ぎ
2 横剥ぎ
3 螺旋剥ぎ
4 抜き取り
第3章 木材利用
第1節 木材の分割
1 道具と技術
2 「磨製石斧」等に埋没している木割り楔
第4章 堅果類利用
第1節 「あく」抜き
1 水に晒して「あく」を抜いた縄紋土器
2 煮沸して「あく」を抜いた、火傷防止用の縄紋土器
3 「水晒し」と「煮沸」-異なる「あく」抜き用土器の同一遺跡内併存
第5章 矢を射ない弓
1 発掘された弓形木製品に対する考古学界の認識
2 民俗考古学的検討
3 継続性
第6章 縄紋時代の太縄
第1節 縄の製作法
1 撚り縄
2 [3本撚り左縄]
第2節 [3本撚り左縄]の用途
第7章 旧石器時代人の運搬具推察
第1節 石器原材料の運搬
1 旧石器時代人の籠